gと烙印(@アニメてにをは)

ジブリにまつわる回想、考察を書いていきます。

2021-12-19から1日間の記事一覧

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その10)

玉井夕海さんに限らず、なんらかの形でジブリに関わったひとたちは、「わたしジブリです問題」にどう処しているのでしょう。特にそれ以上にキャリアに箔がない場合。『もののけ姫』のアシタカの声をやった松田洋治さんはあるインタビューで、どれだけ役者の…

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その10)

ぼくは知的あるべきひとたちの生理的な拒否反応にがっかりしましたが、手応えも感じていました。 ジブリで鍛え上げた「眼」も、わたしはジブリ出身ですと虚飾で自分を包まなければ、理解すらしてもらえない。しかしそういう「未知の眼」を自分は得てしまった…

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その9)

野次馬好奇心で「ジブリだったイシゾネ」(という言い方も変な表現ですね、でも実際そう言われ続けてきました)そう呼ばれるのが嫌になってしまい、それならと一念発起して「いまアニメ研究者であるイシゾネ」になるべく、その第一弾として文学研究の学会で…

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その8)

とは言え、ジブリで働いていてよかったな、と思ったのは上下関係に関してリベラルなところでした。「宮崎監督」ではなく「宮崎さん」とスタッフのみなが呼び、「鈴木プロデューサー」でなく「鈴木さん」と、一切敬称を略して呼んでいました。 上下の関係なく…

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その7)

塾の第一期生からはぼくだけがジブリに雇われることになり、第二期では数人が採用されたと聞いています。というか、これはまたあらためて詳しく書こうと思うのですが、ぼくが塾に参加した冒頭、高畑さんはこの塾を通じてジブリに採用することはないとはっき…

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その6)

塾は開校当初からそうだったわけではありませんでした。 塾が始まり、毎週なり隔週なりの夕方、スタジオの中二階の会議室に若人たちは集まり、高畑氏はのそのそと照れたような顔で現れ、まずはアニメの基礎に関わる講義が始まったのです。しかし回を重ねるご…

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その5)

これをいま読んでいるひとはぼくの当時の決意をどう思っているのでしょうか。 若さの傲慢、若気の無謀。 そうなのでしょう。ただ相手は高畑勲さんだったのです。若造がとか、小憎らしいとか、思いはしたでしょう。しかし高畑さんが高畑さんである所以は、そ…

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その4)

でもこの《嘘人物=吉田自由児》に、本当にジブリに選ばれるって、過酷なんだよ、と同時に言ってやりたいです。 ジブリの虚飾にへいこらするのでなく、ジブリと本当に創造的に関わるってどれほど大変ことか。 ベテランのスタッフならともかく、まだ大学を卒…

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その3)+吉田自由児よ、嘘はよくないな

「東小金井村塾」とは、スタジオジブリが主宰した若手アニメ演出家を養成することを目的とした塾のことです。二期だけつまり二年間だけ続き、玉井夕海さんはその二期生、塾長は宮崎駿なのでした。ぼくが塾生だったのは第一期の方なので、玉井さんとは面識は…

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その2)

あれはもう何年前のことでしょうか。 近所の喫茶店の常連にぼくはなっていて、そこは隅の席で黙って本を読んでいて何時間ねばっていてもマスターは放っておいてくれるのです。 二杯目からのコーヒーのおかわりは何杯でもずっと百円。 そういう気前のいい商売…

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その1)

さて今度こそは、ぼくとジブリの話です。 どこから話を始めたらいいのかわからないのです。ふたを空けて少しでも脳をにゅっと押すと、ジブリ専用の脳内から言葉にならないイメージがきれぎれのまま飛び交って、順番などおかまいなしに出口を目指してあふれそ…

gと烙印:01/03~スペードのクイーンを切る(その3、で終わり)

《短く簡潔に》が良識であるこの昨今。 そんなご時世だからこそ、このにょろにょろと際限ないかのように伸びていくぼくの文章は、あまり好まれないでしょう。 でもそれはわざとそうしています。 自分の貴重な思い出をそう簡単に、斜め読みしてわかったつもり…

gと烙印:01/02~スペードのクイーンを切る(その2)

そんなわけでこれからぼくとジブリの入り組んだ回想が始まります。 ぼくとジブリ、あるいはぼくとアニメとのかかわりを、この場をかりてきちんと話していこうと思うのです。 長い長い話になると思います。 話はねじれてまがってどこへ続いてゆくのかすぐには…

gと烙印:01/01スペードのクイーンを切る(その1)

いまこの文字が記されているのが、紙の上かそれともサイト上なのかわかりません。 紙かウェブか決まっていないのでは、書いていく調子がいまひとつつかめません。 迷っていますが、これはただの個人が所有するPCの中に、ただ埋没しているものとして割り切…

始まり00/2~助走のような文章

この投稿を始めるにあたって、ちょっと勇気はいりました。 アイデアが盗まれる、個人の経験が流用される。そういう恐れはあります。 でも、ぼくがこれから披露する体験話は、ほかのひとにはおいそれと真似のできないオリジナルな体験であることには自信があ…

始まり00~1.前口上のつづき

これから始まる、ジブリに関わる長い長い回想はすでに世界の片隅で発表されていた。これはその書き直しである。 フェイスブックを10年ほど前に始めてからしばらくは何も投稿することがないと思って放っておいたところ、何が機縁か覚えていないが、ある日これ…

始まり00~0.前口上

いまジブリから発行されている雑誌「熱風」にて論考「アニメの『てにをは』事始め」が連載されている。来年の3月で完結。 2021年12月現在、編集部は来年1月号を編集中で、執筆者のひとりであるぼくは残りの2月号、3月号の原稿を直している。 その最後の…