さて今度こそは、ぼくとジブリの話です。
どこから話を始めたらいいのかわからないのです。ふたを空けて少しでも脳をにゅっと押すと、ジブリ専用の脳内から言葉にならないイメージがきれぎれのまま飛び交って、順番などおかまいなしに出口を目指してあふれそうになり、あわててぼくは蓋をする。いまそんな感じです。
このあり様では書きだすのにタイミング的にはまだかなあ、というのが正直なところです。
そうそう、ホットドックの上からつぶすと、自働でケチャップとマヨネーズが交互に混ざりながらきれいな流線になって出て来てくれるあれ、ありますよね。ああいう感じでイメージをするするっと出てきてゆるやかに交叉して物語を紡げるのが理想なんですが。それが物語作者の仕事なんでしょうけれどね。
文章の始まりを華麗に決める匠の技にあこがれるものの、まだ制御しきれていない記憶の数々をもてあましたままでは、そんな贅沢も言ってられません。
だから今回ちょっとずるい始まり方の用意はしてあるんです。迂回するようですが、そこから始めます。
(第1回のその2へつづく)