gと烙印(@アニメてにをは)

ジブリにまつわる回想、考察を書いていきます。

gと烙印:第1回~焼きごてのような思い出(その5)

 これをいま読んでいるひとはぼくの当時の決意をどう思っているのでしょうか。
 若さの傲慢、若気の無謀。
 そうなのでしょう。ただ相手は高畑勲さんだったのです。若造がとか、小憎らしいとか、思いはしたでしょう。しかし高畑さんが高畑さんである所以は、そういった俗臭を自分の眼から拭い去り、相手の言ってることそのものに理があるかどうかをクールに判断するひとでした。
 俗臭ふんぷんたる大人だったら、搦め手でいなすように対処してぼくを黙らせたことでしょう。しかし高畑さんというひとは異論反論をまっすぐに受け止め、それを冷静にそして冷徹なまでに検討に付すのです。高畑さんは振る舞いよりも物言いの責任に敏感で、「その意見はちょっと浅はかなんじゃないですか?」と問い詰め、「わたしはそんな考え、どうでもいいですがね」と冷たく突き放し、「だからあなたはダメなんですよ」と人格否定する光景すらありました。ときにぼくですら、議論を楽しむのでなく、真っ向からぶつかりあい、お互い怒鳴りあうというときもありました。しかしそんな一触即発な場面は塾の後期に入ってからのことです。ぼくですら、いったいどういう流れでこんなひりひりしたやりとりの場になったのかと思うこともしばしばありました。
(その6へつづく)