gと烙印(@アニメてにをは)

ジブリにまつわる回想、考察を書いていきます。

gと烙印:その10~流れに任せて書いてみたら(その8)

 何しろあんまりすることがないので、でも外出も出来ないので、暇つぶし気分で「山田くん」の内容全部、その当時連載された分すべて、データベースにして、最初富士通ワープロで、途中から「このデータベース使える」とスタッフに認知されてからは白黒ディスプレイのマッキントッシュで、打ち込み続けた。僕の「データベース癖」はここから始まる。

 でも「山田くんデータベース計画」の話はあちこちでしている。もっと、いままで話したことのないような、自分でも忘れていた「山田くんの頃」をおいおい書いてみたい。

(あ、寿司食いに行くのに食べ放題を提案したのが作画監督田辺修さんだった。田辺さん! いいひとだったなあ。あのひとのことを思い出すたび、ほんわかしてしまう。ジブリにいて映画や音楽の趣味が恐ろしく同調できたのはあのひとだけだった。ウォークマン裏ワザでフリッパーズギターの曲を小沢健二メインボーカルにしたりして盛り上がった。アニメで北野武調はいかがか否かで議論したり。そして同じく作画監督の小西さん! 田辺さんをこの作品のために外部から引っ張って来たのが小西さんだった。穏やかなキャラクターなのに、電車に乗って席に座ると膝をガバっと開いた不良な座りして二人分の席を占領しているのに本人は無自覚だったり。ジブリ生え抜きの小西さんはこの後フリーになり、「ドラえもんのび太の恐竜」の作画監督になり、「山田くん」キャラ描線を完全再現した。ここまでキャラをイタズラ描きみたいに崩したらジャイアンだと認識できないよ!と突っ込んだりしながら、「山田くん」のDNAがここに継承されていると、映画館で観ながら泣きそうになった。なんて、あれこれあれこれ)

  僕が、でも「山田くん」のエンドクレジットに現れないのは、さっきのテストカットを見終えてから間もなく会社を辞めたから。

 というか、そのテストカットを見終えた瞬間、「あ、この作品で僕がいる意味がなくなったな」と悟った。「あとは実際的な作業が始まる。それはベテランさんの演出助手がいればもう十分だ」。
 それ以前から辞める気でいたけれど、そう思うに至った理由は長々と説明しないといけないから今回は流して、でもまあ、テストカットを見たときが辞めるのを決意するとてもいいタイミングだと思った。
「跳ねっ返りはもういらない。あとは実務が勝負です」。
 さてさてジブリにいちゃあ演出家になれそうにない。その重責に耐えるには長い年月が必要だろうからというのもある。だから他所のスタジオに行って、手っ取り早くテレビアニメで演出家デビューしてあれこれ試行錯誤した方がよかろう。
 それに。ジブリは若手を育成する土壌ではない。本当に、芽を摘む空間だ。芽もないままに年古った魑魅魍魎が、必死で芽が出るものを摘もうとする。そうじゃない人も沢山いたけど、陰湿なもの、いじめ的なものはここでも、姑息にひっそりと見えない形で技を発揮させる。そんな技だけ芽が出てる。そういう人たちほどスタジオに居座り、土壌がさらに腐っていく。(その9へつづく)

animeteniwoha.hatenablog.com