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ジブリにまつわる回想、考察を書いていきます。

gと烙印:第15話~高畑さんの本領それから塗り絵(その2)

その2
 宮崎さんの作品もウェルメイドなものだ。効果のほどがきちんと観る者に伝わる。スタッフも一緒に作っていてその効果のほどが伝わる。作っているときすれ違うのは上手下手の領域だ。
 だから作っているときも既視感がある。「よく出来ているけど、何だか前と同じ」。
 出来上がってくる絵コンテやレイアウトを見ては、「よく出来てるなあ」、「すごいよく出来てるなあ」と舌を巻く。
 よく出来ていて、創造力がすごくて、ぞくぞくする。
 でも。
 でも、何だろう。
 高畑さんと作ってるときと比較すると、少しは驚きの違いが言えるかも知れない。
 『ホーホケキョとなりの山田くん』の企画立案に参加していたとき、高畑さんのアイデアは最初なんだか分からなかった。
 何だかわからない状態がかなりしばらく続く。
 そしてかなり、ずっと、待たされる。
 じりじり待たされる。
 出来上がった瞬間、あっ、と思う。

 この待機の時間が《高畑マジック》そのいち、だと思う。

 宮崎さんのは、素材が提出された瞬間もう出来上がっているとも言える。
 絵コンテの段階で、レイアウトの段階で。もう見えているものの線に沿ってスタッフは作業を進めていく。

 高畑さんが与える驚きが《待機の末の驚き》とすれば、宮崎さんのは《瞬間の驚き》だ。
 どちらがすごいという話ではない。
 驚きの性質が違うだけだ。
 そしてもちろん、それらのどちらも面白いとは思わない、そういうひとも、もちろんいるだろう。

  高畑マジックそのいち、と書いた。
  それを待機の「末」の驚きと書いた。
 高畑マジックそのに、は《待機そのものが驚き》なのである。
 いつ始動するのだろう……
 いつ出来上がるのだろう……
 これ公開に間に合うのかな……
 なのにこの人はどうしてこんなに平気な顔して、ときにへらへらして、椅子でのんびりしているんだろう……
 周囲のスタッフのはらはら感に全然動じることなく、平気で納期がせまるのを泰然としている。
 この神経の太さが高畑マジックそのに、である。(その3へつづく)

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