gと烙印(@アニメてにをは)

ジブリにまつわる回想、考察を書いていきます。

gと烙印/村塾編~00【前書き】

 物語『gと烙印/村塾編』をお届けします。
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 この物語は、わたしがジブリに入社するきっかけになった、アニメ演出家養成塾《東小金井村塾》での経験を《半ば・虚構化》して語ったものです。
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 東小金井村塾はスタジオジブリが開いた若者向けのアニメ塾でした。
 95年に第一期(塾長・高畑勲)、そして98年に第二期(塾長・宮崎駿)がそれぞれ一年間、毎週末に開催されました。
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 わたし(石曽根)は第一期の塾生であり、この塾での《活躍》が評価されてジブリに入社することになるのですが、その《奇妙な経緯》は、本文を読んで楽しんでください。
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 これは《物語》です。《真実そのまま》の事実をお伝えしてはいません。《嘘》だろと言われても否定できません。しかし《書く》にあたって、《真実を書く》とはどう実現し得るものでしょうか?
 それはともかく、この《物語》を《嘘》にしている点は大きく言って、ふたつあります。
 ひとつは曖昧になった記憶の補強、もうひとつは当時の塾で未解決だった討議に、25年を経てわたしなりの《解答》を出している点です。
 書いた本人の感触としては《嘘3割・本当7割》という感じです。
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 いまこれを読んでいるひとのなかには、実際にこの塾に通っていた《当事者》もいることでしょう。そのあなたにとって、この《物語》はどんな読後感を呼び起こすでしょうか?
 塾のあの独特な雰囲気、ないし特異な緊張感が思い出されたでしょうか?
 それともこいつ(石曽根)は、あの塾をこんな風に体感していたのかと、四半世紀ぶりに《謎が解けた》と思うでしょうか?
 書くという営み自体がはらむ《嘘が1割》、記憶を補強して《嘘がもう1割》、そして25年間忘れずに考え続けた成果を加えて《嘘の最後の1割》、合計の《嘘3割》なのです。
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 25年以上、あの経験を考えつづけ、その総決算をこのような形で《書き残す》。《物語》として。
 こんなことを成し遂げる人間は、《関係者》が大勢いるなかで、わたしだけだろうと自負しています。その《執念》の面で。
 実際、わたしの内でこの経験は25年以上の間、生きつづけ、燃え盛りつづけたのです。それほどの《衝撃》だったのです。どう言葉にしていいかわからないまま、どんどん年月が過ぎていきました。
 そして先日、どうにか・うまくコントロールして(まず一回目として)なんとか書き終えることができました。
 切実さが消えぬこの思いこそが、《真実7割》を担保しているのだと思っています。
 この《物語》を読みながら、あなたの内に、ふと錯覚のように・何がしかの感情がよぎるかもしれません。
 おそらくそれが、《あの塾の真実》であり、そして《わたしが経験した・奇妙な生の真実》でもあると思うのです。
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 《嘘》であることを加味してでも《再現》してみせたかった、あの塾という《経験》。
 嘘、嘘と強調してしまったので、警戒して読むひとがいるかもしれませんね。けれど、続々と登場する事件とその経緯・シチュエーションは、いかに不自然に見えようとも、これだけは99%・本当のことです。
 真実が嘘を凌駕しているはずです。
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 この《物語》を読んでくださって、そこ描かれた経験のなにがしかを、あなたも体感してくださったなら、わたしがこの物語をネットの片隅に置いてみた甲斐があるというものです。
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 前置きが長くなりました。
 どうぞ《g(ジブリ)と烙印/(東小金井)村塾編》をお楽しみください。

 

(本文その1へつづく)

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